【中長編】惑う星の解決法
2020年5月18日
罪を背負わされた少女とすべてを奪われた少年が、過酷な道の果てに還る場所
作品名 | 惑う星の解決法 |
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作者 | 守野伊音 |
文字数 | 約11万6000字 |
所要時間 | 約3時間50分 |
ジャンル | SFファンタジー(宇宙) |
作品リンク | 小説家になろう |
レビュー
「あの地獄で、死ねない理由は多々あれど、生きたい理由は一つだけだったんだ」
荒廃し果てた青い星を捨ててから四百年。十三の宙域に区分された宇宙各地の人工星で暮らす人類は、『ブループラネット』を名乗り始めた第七人工星による第十二人工星への侵略を契機に、宙間戦争の時代へと突入していた。
医療器械の研究者だった両親に連れられて、九歳の頃に第五人工星から第八人工星へと移住した少女は、七年ぶりに第五人工星を訪れて、長年の心の支えだった大切な幼馴染と思いがけない再会を果たす。
生み出した意図が善意であろうとも、悪意をもって利用されれば、発明者は結果として齎される悲劇の業を背負わされる――。奪われて、虐げられて、憎まれて、命も魂も削ってもなお、彼女には必ず果たさなければならないことがあった。
奔放でトリッキーな自由人でありながら、過酷な運命を粛然と背負う少女が、ただひとつ自ら抱いた望みの純粋さが胸を打つ。
何よりも清廉で優しい海を愛した少女の、復讐と、贖罪と、切なる祈りの物語。
キャラクターpickup
ユズリハ・ミスト
「アクアはいい奴だよ。私なんかよりよっぽど」
「幸せになって、アクア。お願いだから、幸せに」
「しなくちゃいけない事は沢山ある。けど、したい事は一つだけだった」
「私にはアクアがいるよ。ここが楽園で、明日で、今で、全ての幸福なんだよ」
…奔放で自由気ままな少女。大らかで率直、感情の波が激しくてわがままな反面、確固とした意志を持って粛々と目的を果たそうとする。多面性を持つ天才。
アクア・ガーネッシュ
「……俺は、救われたいなんて思わない」
「冗談じゃない。俺はあの男と同じ道だけは歩まない。絶対にだ」
「ちゃんと頑張れたらプリンを買って帰ってやる。元気になって一緒に食べよう」
「俺相手に取り繕える体面なんて、お前はもう持ち合わせてない」
…とんでもなく優秀な名家の跡取り息子。一見生真面目で冷淡な優等生だけど、案外思考は柔軟で世話焼き気質、ついでに鈍感。清廉で優しい少年。