【中長編】カエル紳士と新米メイド : 閑人書房

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【中長編】カエル紳士と新米メイド

2020年5月17日 

世間知らずなお嬢さんと紳士的なカエルさんの、英国ヴィクトリア朝風ラブロマンス


作品名カエル紳士と新米メイド
作者山吹ミチル
文字数約14万7000字
所要時間約4時間55分
ジャンル恋愛(ヒストリカル)
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レビュー

「やっぱりしゃべったわ」「いや、カエルがしゃべるわけないだろう」


弟と手を取り合って横暴な父のもとから逃げ出し、身元を偽って伯爵家のお屋敷でメイドとして勤めることになった元男爵令嬢。箱入りのお嬢様育ちだが、弟のためにもクビになるわけにはいかないと懸命に働く彼女は、あるとき夜の庭園で、人の言葉を話す不思議なカエルさんに出会う。
素直で思いやり深いお嬢さんは、親身になって話を聞いてくれた優しくて頼もしいカエルさんのことがすっかり大好きになるが、カエルさんのほうは自分の姿かたちにコンプレックスがあるらしく…。

時代の空気感がとても丁寧に描かれていて、自然に物語の世界に引き込まれる。
六歳年下の弟をこの世の何よりも大切にしているお嬢さんが抱く痛切な願いと、そんな姉を守りたい幼い弟の覚悟が切なくて、姉弟を見守るカエルさんの眼差しがとてもあたたかくてやさしい。

素直に好感のもてるキャラクターに落ち着いたストーリー展開で、ストレスなく読める王道恋愛小説。

キャラクターpickup
アメリア・モーガン
「ちゃんとメイドらしく見えるようにがんばります」
「わたしが守るんだと心に決めていました。あの子がいればわたしはそれでよかったんです」
「エディさんはおかしなカエルなんかじゃありませんよ。とても優しくて紳士なカエルさんです」
…家を出てハリソン・ハウスでメイドとして働きはじめた、おっとりした世間知らずなお嬢さん。慣れない仕事に苦労しているけど、真面目で礼儀正しい働き者。母親代わりに育ててきた六歳年下の弟をとても大事にしている。
エディさん
「私がカエルであろうと、ここが屋敷の敷地内であろうと、夜中に女性を一人で歩かせるわけにはいかない」
「カエルを見てそんなに嬉しそうな顔をする女性はいないだろう」
「話してごらん。聞くくらいのことはできるから」
…人の言葉を話す不思議なカエルさん。鷹揚すぎてちょっと大雑把なところもあるけど、優しく紳士的であたたかい人柄。カエルの姿にコンプレックスがある。
デーヴィット・モーガン
「アメリア、絶対に俺から離れないようにしろよ」
「ちゃんと弁えます。それにどんなにきつい仕事でも逃げたりしません」
「ふうん。じゃあ、一緒に謝ってやろうか?」
…姉のアメリアとともにハリソン・ハウスで働きはじめたボーイ。年齢のわりにしっかり者で、とても優しい十一歳の男の子。


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