【大長編】Babel
2020年5月17日
※この作品はネット掲載終了しています。
大学に入学して最初の夏休み、帰り道で突然目の前に現れた黒い穴に吸い込まれ、忽然と世界から姿を消した少女。気が付いたとき彼女が立っていたのは、魔法が当たり前に存在する異世界だった。
彼女の世界の文字に興味があるという学者肌の魔法士の助けを得て、元の世界へ戻る手がかりを捜すため、少女と魔法士の長い旅が始まる。
孤独で不自由な自分という枠の中、それでも何かを伝えたいと願う意思があるから、言葉は人の思いとともに移ろい広がり、時代を築く礎となる。バベルの塔の崩壊劇は、人から何を奪い、何をもたらしたのか―――。
逆境にあっても常に前を向き強くあろうとする頑固で負けず嫌いな少女と、揺るぎない芯を持つ冷静でマイペースな魔法士の青年。互いに尊重しあいながら旅をする二人は、旅路の果てに世界の真相に迫り、やがて大きな決断を迫られる。
人の意志の尊さが心を揺さぶる、言語をめぐる変革の時代の物語。
…Babelよりおよそ300年前、〈魔女の時代〉と呼ばれた頃。呪われた王太子と大陸最強の魔女の契約からはじまる御伽噺。
*【中短編】水の冠
…暗黒時代の頃、魔法士の国トゥルダールを築いた王と異能を持つ娘が出会う物語。
異世界に迷い込んだ少女と魔法士の青年の、変革をもたらす旅の軌跡
作品名 | Babel |
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作者 | 古宮九時(藤村由紀) |
文字数 | 約90万字 |
所要時間 | 約30時間 |
ジャンル | 異世界探訪ファンタジー |
作品リンク |
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書籍版 | 電撃新文芸(※公式ページ) |
レビュー
もしこの旅の果てに無事帰還できたとしたら、その時は自分はどんな人間になっているのだろう。
大学に入学して最初の夏休み、帰り道で突然目の前に現れた黒い穴に吸い込まれ、忽然と世界から姿を消した少女。気が付いたとき彼女が立っていたのは、魔法が当たり前に存在する異世界だった。
彼女の世界の文字に興味があるという学者肌の魔法士の助けを得て、元の世界へ戻る手がかりを捜すため、少女と魔法士の長い旅が始まる。
孤独で不自由な自分という枠の中、それでも何かを伝えたいと願う意思があるから、言葉は人の思いとともに移ろい広がり、時代を築く礎となる。バベルの塔の崩壊劇は、人から何を奪い、何をもたらしたのか―――。
逆境にあっても常に前を向き強くあろうとする頑固で負けず嫌いな少女と、揺るぎない芯を持つ冷静でマイペースな魔法士の青年。互いに尊重しあいながら旅をする二人は、旅路の果てに世界の真相に迫り、やがて大きな決断を迫られる。
人の意志の尊さが心を揺さぶる、言語をめぐる変革の時代の物語。
キャラクターpickup
水無瀬 雫
「重ね重ねご迷惑をおかけします。できれば見捨てないで下さい」
「何に従い何を選ぶのか、それは個々人の意志に委ねられています。誰であろうとも他者がそれを侵すことはあってはならない」
「私は、人間です」
…突然訳の分からない世界に飛ばされて大きな不安を抱えながら、努力して前向きであろうとする文系女子大生。わりと豪胆で大雑把なところがあり、考えなしにとりあえず突っ込んでみたり、負けず嫌いゆえに無茶な行動をとったりして、エリクに注意されることもしばしば。自分の足でしっかり立って自分の意志で進んでいこうとする、頑固で毅然とした女の子。
エリク
「ああ、僕を警戒してる? 安心して。人間にあまり興味がないから」
「君は自分が思っているより普通じゃないよ」
「うん。頑張ったね。ありがとう」
…魔法文字専門の魔法士で、視野が広く柔軟な思考を持つ学者肌の美青年。魔力が少ないのであまり大掛かりな魔法は使えない。淡々としていて素っ気ないけど、人に興味がないと言うわりに人の本質をよく見ているし、突き放したりもしない。雫には無茶なことはしてほしくないけど、その意志には敬意を払っている。その場にいるだけでものすごく安心感があるひと。
関連作品
*【大長編】Unnamed Memory…Babelよりおよそ300年前、〈魔女の時代〉と呼ばれた頃。呪われた王太子と大陸最強の魔女の契約からはじまる御伽噺。
*【中短編】水の冠
…暗黒時代の頃、魔法士の国トゥルダールを築いた王と異能を持つ娘が出会う物語。
(すべて単品で読めますが、「Unnamed Memory」を一番最初に読んでおくことをおすすめします。)