【長編】BLANCA
2020年6月2日
異国の少女を慈しんだ怜悧な青年将軍と、ひたむきにその背を追って成長していく少女の、八年間の軌跡
作品名 | BLANCA |
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作者 | 糸(水守糸子) |
文字数 | 約16万5000字 |
所要時間 | 約5時間30分 |
ジャンル | 恋愛(異世界) |
作品リンク | 小説家になろう カクヨム |
書籍版 | 一迅社文庫アイリス(※Amazon商品ページ) |
レビュー
花(ブランカ)。それは、のちに北大陸に名を馳せたリユン将軍の、生涯あいした女の名。
雪女王の支配する常冬の王国で、獄吏の男に銅貨一枚で買われた幼い奴隷の少女。あるとき彼女が命じられたのは、俘虜となった敵国の若き将軍の監視役だった。言葉の通じぬふたりは、つたなくも互いにいたわりを分けあい、名無しの奴隷であった少女を異国の将軍は可憐な花の名で呼んだ。
―――閉ざされたかたい殻を破った少女の物語は、そうして奇跡のように幕を開ける。
青年将軍によって国に連れ帰られた幼い異邦人は、内気だけれど決して気弱ではなく、人一倍優しくて頑固な女の子。無垢で傷つきやすい少女を、時には不器用な嘘でもって包み込むように守り慈しむ青年の優しさと、その優しさを愛しながらも彼に追いつきたいと願ってしなやかに強く成長していく少女のひたむきな想いが、切なく心を震わせる。
決して美しいばかりでもやさしいばかりでもない世界、それでもそれを心から愛する少女のやわらかな眼差しを通して描き出される、愛しい日々の物語。
キャラクターpickup
ブランカ
「もっと、もっとリユンとおはなししたいの……」
「はやく、おとなになれたらいいのに」
「あいしてる。だからまだ、がんばれるよ」
「やさしい軍人さんがつけてくれたんです。わたしのいちばんのたからもの」
…リユン・サイ将軍が異国から連れ帰って来た元奴隷の少女。エスペリア語はちょっと苦手。引っ込み思案だけど頑固でやさしい女の子。
リユン
「今日と、あした。どこへゆく、ブランカ?」
「いいんだよ、ブランカ。間違っても。ごめんなさいって謝れれば、それでいいんだ」
「僕の大事なおひめさまに、許可なしに色目使わないでくれない?」
「ブランカ。キミはこういうもののかたちも、手触りも覚えないでいて」
…知略にすぐれたエスペリアの若き将軍。大事なおひめさま相手にはとても優しいけど、結構いい性格してるひと。妹が多いので女の子を甘やかすのは上手。