【長編】異世界出戻り奮闘記

2度目にやって来た異世界を、自分の意志で前向きに生きようと頑張る少女の物語


作品名異世界出戻り奮闘記
作者秋月アスカ
文字数約37万字
所要時間約12時間20分
ジャンル異世界FT/恋愛
作品リンク小説家になろう
書籍版アリアンローズ

レビュー

「私、この街が――この世界が、大好きです。一度目に来たときは、この世界のことを知らないまま去ってしまいました。それで、終わってしまうところだった。だから、この世界へもう一度来れてよかったと……今は心から思っています」


かつて巫女として異世界に召喚され、求められた役目を果たして元の世界へ帰ってから一年。何故か今度は巫女としての神力を授からないまま、突然異世界に放り出されてしまった女子高生・ハルカ。わけも分からず途方に暮れた彼女を拾ってくれたのは、城下で定食屋を経営するご夫婦だった。
盛大に送り出してもらったのに、神力もないただの小娘になって出戻って来たなんて恥ずかしすぎる! かつての知り合いにうっかり会ったりしないうちに、何とか元の世界へ帰りたい――そう、見事に玉砕した初恋の相手である元護衛騎士などには、特に。

再び異世界にやって来てしまったのは事故か、はたまた陰謀か――力を失った元巫女の少女が、異世界の事情に巻き込まれ、好き勝手利用されそうになったりしつつも、人との絆を通して地に足をつけ、懸命に世界と向き合っていく。

自分の意志で前向きに進んでいこうとする少女の頑張りを応援する異世界ファンタジー。

キャラクターpickup
ハルカ
「大丈夫、私、結構図太いよ。簡単にへこたれたりしないんだから」
「私、誰かに守ってもらいたいわけじゃない。むしろ、私に守れるものがあるなら、私が守りたいと思うよ。だって、この世界には、大切な人達がたくさんいる」
「だって私、自分の力で頑張ってみたいと思ったから。前みたいにノエルに護られてばかりじゃダメなんだって、そればっかり考えてた。全部がうまく行ったわけじゃなかったけど、自分で考えて動いたことが次の何かに繋がるって、すごく、嬉しかったな」
…やや人見知りのきらいはあるが、素直で思いやりがあって一生懸命な女の子。〈異界の巫女〉として神官長によって与えられた名は「ハルーティア」だけど、恥ずかしいから本人はあまり気に入ってない。
ノエル
「お前が人のことを避けたりするから、こんな無茶をする羽目になったんだろうが」
「何かあれば必ず助けてやる。それも、忘れるな」
「少し、安心した。お前はお前なんだなと思って」
…前巫女ハルーティアに引き続いて現巫女アルディナの護衛も務めている、無愛想だけど誠実で面倒見のいい騎士。ブレない芯と思いやりがあり、護衛対象からの信頼は絶大。真面目で品行方正な騎士様だけど、たまにちょっとガラの悪い言動が見え隠れする。
アルス
「いや~、ハルカちゃん、しっかりしてるね。うん。そうだね、昨日今日知り合ったばかりのナンパ男に送らせちゃあいけないよ」
「だからこそ、同じ男としては見過ごせないっていうかね? ハルカちゃんは、あまりに優しすぎて、一途過ぎるんだよ。もっと我がままになるべきだ」
「君には君の、歩むべき道がある。ちゃんと自分の足元を見てる?」
…街でハルカに声をかけてきた軽薄そうなナンパ男。気さくで人懐っこいが、案外鋭くて油断ならない。

シーンpickup
「召喚術も、魔術の延長線上にある。当然ながら、『偶然に』こちらへ召喚されるなどということはあり得ないのだ。すなわち、何者かが確かな意図と理論を以って、お前をこちらに呼び出したということになる」
「……」
「では一体、何者が、今更お前をこの世界へ呼び寄せたのか?」
「……」
「言っておくが、王宮が公式にお前を再召喚しようとした記録はないぞ。誰かが内密に、何らかの意図でお前を呼びだした。当然そいつはお前の行方を探していることだろう。だが、探しているということをおくびにも出さない。きな臭い理由があるのは間違いないな」
「……」

(巫女時代に魔術指導を担当していた王宮魔術師と再会して、ようやく事態の不穏さに気付き始めたハルカ。)
「ハルカちゃんは、この辺に住んでるんだよね? 一人暮らし?」
「いえ、住み込みで働いてます」
「へえ、どんな仕事?」
「それは、ご想像にお任せします」
「えー、食べ物関連のお店とか?」
「ご想像にお任せします」
「ひどいなぁ、完全に俺のこと警戒してるよね?」
「そんなことはないです」

(ナンパ男・アルスさんとハルカ。人見知りだから知らない人間への警戒心は強い。)
「そもそも、もう帰らなければいいんじゃない?」
「はっ?」
「だってさー、一度元の世界へ帰った巫女がもう一回呼ばれるなんて、多分これまで一度もなかったことだよ? なんか運命感じちゃうよねー。ハルちゃんは、この世界に愛されちゃったんだよ。てことはー、もうずっとこっちで暮らしちゃえば丸く収まるよね! 名案じゃない?」
「全然名案じゃないですっ。身寄りもないこの世界で、異世界の人間が一生暮らしていくなんて無理に決まってるじゃないですか!」
「何で? しっかり働き口見つけて生計立ててるらしいじゃん。全然一人で生きていけるでしょー。不安だったら、僕がまた後見人になってあげてもいいしさ。ていうか、ノエル君に一生養ってもらえば?」
「そういう冗談は止めて下さいよ」

(巫女時代の後見人だった召喚師のルーノさんは、何を考えてるか分からない傍迷惑な変人。)
「少しは俺を頼れと、何度も言っているだろう。そんなに俺が頼りないか?」
「頼りないとかっていう問題じゃなくて。人様に迷惑をかけてるんだから、それなりの態度ってものがあるでしょ、って話」
「人様? お前の中で俺はもう赤の他人になり下がったのか」
「そんなわけない、恩人だと思ってる。だからこそ、出来る限り迷惑をかけたくないんだよ」

(以前のようにノエルに頼りきりじゃ駄目だと思って頑張るハルカと、他人行儀にされて面白くないノエル。)
「誰だって、周りの誰かの思惑に引きずられて、巻き込まれて生きてるんだと思う。私は生まれてからずっとそうだったし、この世界へ来たことだって、やっぱりそうだった。この先も、きっと誰かに引きずられて、巻き込まれて生きていくのは変わらないんじゃないかな。でもその時に、自分が自分で考えて、自分の意思を持っていたかどうかが、後悔のない人生の決め手になるんだと思う」

(誰の影響も受けずに生きていくことなんて出来るはずもないけれど、それでもちゃんと自分で考えて、自分で決めたうえで進んでいきたい。)


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