【短編】レイ・レイ・リー・シャンの森と龍の玉座
2020年6月5日
人嫌いの天龍と人間の娘の、喪われた玉座をめぐる物語
作品名 | レイ・レイ・リー・シャンの森と龍の玉座 |
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作者 | 糸(水守糸子) |
文字数 | 約1万4000字 |
所要時間 | 約30分 |
ジャンル | 恋愛(異世界FT) |
作品リンク | カクヨム(※短編集) 小説家になろう(※短編集) |
レビュー
「わたしはあなたの力を求めてここへ来た。天龍よ、わたしの婿となれ」
天龍の廟に供物とともに並べられた齢十二の少女の前に姿を現した、白銀の鱗を光らせて空を覆う天龍。天そのもののように大きく美しいその生きものを前に、贄の少女は怯えもせず堂々と胸を張って婚姻を求めた。数百年を生きてきた人嫌いの天龍は、幼い人間の娘からの求婚を一笑に付すが…。
いにしえの世、天龍が治めていた国は今はなく、人が治めるようになった世は戦乱に惑っている。
力を求める少女は、レイ・レイ・リー・シャンの森の奥、ひっそりと朽ちゆくいにしえの玉座のかたわらに在りつづける天龍のもとで、停滞する静かな時間をわずかばかり共有するが、やがて自らの足で進まねばならないときがやって来る。
永い呪いに苦しむ人嫌いの天龍と、奇矯で肝の据わった少女の、喪われた玉座をめぐる物語。