【長編】リセアネ姫と亡国の侍女
2020年6月8日
王太子に想いを寄せる亡国の皇女と、同盟国の王の元へ嫁いだ姫君――ダブルヒロインの異世界ラブロマンス
作品名 | リセアネ姫と亡国の侍女 |
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作者 | ナツ |
文字数 | 約20万字 |
所要時間 | 約6時間40分 |
ジャンル | 恋愛(異世界) |
作品リンク | 小説家になろう |
書籍版 | フェアリーキス(※公式ページ) |
レビュー
「いずれは衰えていく見た目の美しさしか取り柄のない私に、ティアは生きがいをくれた。与えられるより与える方がどんなに幸せか、私に教えてくれた。あなたは幸せになるべき女性よ、ティア」―――
―――「リセ様の美しさは、その魂にあるのです。どうかそのことをお忘れにならないで。貴女がいて下さったからこそ今の私がいる、ということを、どうか忘れないで下さい」
暴虐の限りを尽くした父皇帝に諫言を呈したために不興を買って塔に幽閉されていたファインツゲルトの皇女・パトリシアは、フェンドル国軍によって皇都が制圧されたその日、狂皇帝の血を引く者としてその生を終えるはずだった。しかし彼女を見つけたのは、フェンドルの同盟国として派兵していたサリアーデ王国の王太子・クロードで、気高く哀れな皇女の命を惜しみ、密かに自国へ連れ帰ることにする。
そうして皇女を匿ったクロードの行動を看過する見返りとしてフェンドル国王が要求したのは、サリアーデ王国第二王女・リセアネ姫との政略結婚だった。
狂皇帝の圧政に苦しみ続けた故国に対して深い悔悟の念を抱く亡国の皇女は、自分を救い出した高潔で美しい王太子に想いを寄せるが、いまや一使用人でしかなくなった彼女の恋に未来などあるはずもなく…。
一方、絶世の美姫と褒めそやされながら「ただ美しいだけ」であることにコンプレックスを持つ姫君は、男など誰でも同じだとすんなり政略結婚を受け入れるが、お相手のフェンドル国王は、人の美醜に関心などないという峻厳な人柄で…!?
真面目で心根の優しい元皇女と、自由奔放で天邪鬼な美姫、二人のヒロインの恋と友情の軌跡をたどる物語。
キャラクターpickup
ティア(パトリシア皇女)
<わたしは、じぶんのせきにんをとります。おおぜいのたみをしなせたというのに、わたしひとりがいきのびるつもりはありません>
<わたしは、敵国の皇族です! なぜ、毒蛇をむざむざ、その身に取り込もうとなさいます!>
<クロード様にご迷惑をおかけするような真似は決していたしません。ただ、想うことだけは、どうかお許しください>
…旧ファインツゲルト皇国の皇女。父皇帝の所業に諫言を呈したために不興を買い、虐待されたときの傷がもとで声が出ない。ずっと塔に幽閉されていたため世間知らずだが、自分の身よりも下々のために心を砕く穏やかで気高い皇女。
リセアネ姫
「陛下まで、私を人形のように扱うのですか?」
「ただ私は、自分で考え行動する自由を奪われたくないのです」
「陛下のこと、嫌いではありませんわ。この国のことも。平和で強く豊かな国であり続けて欲しいと、私なりに願っています」
…サリアーデ王国の第二王女。神秘的な美貌を持つ絶世の美姫だが、見た目を褒めそやされることにうんざりしており、人前に姿を晒すのが嫌い。自由奔放で幼さが抜けきらず、男嫌いで辛辣。無邪気に周囲を振り回す愛らしい姫君。
クロード王太子
「さあ、ティア。私は約束を守った。君は今から皇女などではなく、私の使用人だ。いいね?」
「だめだよ、ティア。医師からこの一年間、決して喉を使わないように言われているだろう。いい子だから、先生のいうことを聞いて」
「愛らしいと、守ってやりたいと思うことすら、許されないと言いたいのか」
…サリアーデ王国の王太子。甘ったるい言動が似合いすぎる超絶美形の優男。容色華やかで知略にも武勇にもすぐれ、気配り上手で心優しい王子様オブ王子様。
グレアム王
「何かあったらどうする。もっと自分の身を弁えろ」
「やはり、王妃は箱入りだな。何も分かっていない」
「……いつまでも我慢が出来るとは思うなよ。私も男だ」
…フェンドル国王。苛烈で峻厳な威圧感のある武勇の王。繊細な気遣いやもってまわった言い回しは苦手だが、誠実で生真面目な男らしいイケメン。
その他関連作品
*【中長編】ナタリア姫と忠実な騎士…サリアーデ王国の第一王女と幼馴染の騎士のラブロマンス。
*【中長編】エレノアと嘘つき伯爵
…フェンドル国王の婚約者候補だった令嬢と、旧敵国領を宗主として治める伯爵の、契約結婚からはじまるラブロマンス。
(読む順番は「ナタリア姫と忠実な騎士」→「リセアネ姫と亡国の侍女」→「エレノアと嘘つき伯爵」がおすすめです。)