【長編】おおかみさん、あまいもののほうへ ※R-18 : 閑人書房

おすすめネット小説紹介ブログ
初めてお越しの方は【 ご案内 】をご確認ください。

【長編】おおかみさん、あまいもののほうへ ※R-18

2020年9月2日 
※この作品はネット掲載終了しています。

あまくておいしいお菓子からはじまる、ほのぼのハートフルな溺愛ラブコメディ


作品名おおかみさん、あまいもののほうへ
作者ぴよこ(春井菜緒)
文字数約24万字
所要時間約8時間
ジャンルラブコメ(異世界FT)
作品リンクムーンライトノベルズ
書籍版一迅社メリッサ(※公式ページ)

レビュー

「すげー美味くて、幸せの味がしました。――シュミットさんの作るものは全部、そういう味がします」


漁業で栄える素朴な島国の田舎街・アリオンの片隅で小さな甘味店を営む女主人、リア・シュミット。二十二にもなるのに“恋種”が芽吹く気配もなく独り身を通している彼女のお店にある晩やって来たのは、びっくりするほど綺麗な顔をした、びっくりするほど眼力の強い赤髪のお兄さんだった。
クールな無表情でショコラタルトを食べるお兄さんの腰のあたりでご機嫌に揺れているものは、…なんだか尻尾のように見えるのですが――!?

なんでもひとりで頑張ろうとしてしまいがちな女の子と、そんな彼女のために何かしたくて頑張るお兄さん。ちょっとずつ距離を縮めていくふたりがどっちも一生懸命で可愛らしく、甘くやさしいにおいが漂ってきそうな小さなお店の空気感もあいまって、思わず笑みがこぼれてしまう。

見た目クールビューティなわんこ系の傭兵さんと働き者な小動物系女子の、甘くて可愛い溺愛ラブコメディ。

キャラクターpickup
リア・シュミット
「私は甘くておいしいもの作るのが仕事なのでっ! 甘いものが好きな方は大歓迎と言いますか、嬉しいですし、もうホントありがとうございますという気持ちでいっぱいです…!」
「私もですっ。私も好き! 同じですね」
「私なんかが話せることって言ったら…レシピを呪文のように囁き続けるくらいしか…」
…甘味喫茶トランカルムの女主人。真面目で朗らかで人に好かれる気性だけれど、人に頼るのはちょっと苦手。かわいいもの好き。
レオン・ヴァルター
「すみません…。男のくせに甘いものが好きなんて…恥ずかしくて」
「好きなものも、嫌いなものも、両方とも持たないようにしていたんです。戦いに出ている間は、感情が揺れると疲れるから」
「あなたが俺の言葉に反応を見せてくれるから、ついもっと見たくなってしまって。すみません、調子に乗りました」
…アリオン出身の英雄アダムの凱旋に伴ってやって来た元傭兵。ちょっと人見知りで緊張すると怖い顔になるけど、慣れると可愛い美形のお兄さん。

・些細な日常の幸福を愛するヒロインの描写が好ましい。お店の雰囲気とか、使っている小物とかから、すでにカワイイが滲み出ているな。

・甘いもの食べてしっぽパタパタしてるヴァルターさんも、「しっぽ!?」ってなってガン見してるリアさんも、どっちもかわいい。

・リアさんに撫でくりまわされるわんこを威嚇したり、リアさんの作ったケーキを毎日ホール食いしてたり、「なんでもおいしく食べられる方って素敵です」に胸キュンしたりするイケメン…。

・未登場のアダムさんのイメージがもう完全にゴリラな件。もはや名前で呼ばれてすらない(笑)

・悪口のボキャブラリーが五歳の頃から変わってないリアさん…。とりあえずアダムさんのことを普通に「匹」で数えるのはやめよう笑っちゃうから。

・ワンコとして愛でられるのもふつうにアリなのかヴァルターさん。それでいいのかヴァルターさん。

・時計台を見上げながら律儀に開店時間を待ってるヴァルターさんの忠犬感…。

・すごい美形だけど人見知りで、慣れないうちはちょっと怖くて、怖がらせちゃいけない人の前ではお行儀いいけど、時々素の野性味が滲み出ていて、ものすごく一途で愛情深くて、好きなひとにだけデレッデレでかわいい。なんという隙の無いイケワン…ワンコとして100点満点だな。

・「や、焼きすぎたお菓子は、一緒にいちごのヘタ取りなんかをして貰うと、そこそこ元に戻るかもしれません…」とても些細で大きな一歩。焼きすぎてかたくなったお菓子をあたためてフワフワにする、って表現すき。

・恋に落ちた女の子の可愛さ全開か…! 好きだなって思ったことに自分でびっくりして泣いちゃうのずるいよ、かわいいよ。

・「ずっと側にあった温もりこそが、私が生きていかなければならない現実の世界では、夢になっていた。」「今日と変わらない明日が来ることも、大好きな誰かが隣にいてくれることも、当たり前のことなんかじゃない。」人を懐にいれるのが怖くてしょうがないところ、意固地になって限界まで一人で頑張っちゃうところ、ささやかな幸せをものすごく大切にしているところ。喪失を知っているリアさんの心の傷がもどかしくて、だからこそ、ちゃんと自分の恋と向き合って未来を望もうとするその心根がとても愛おしい。

・「全部を正しく理解出来なくても、あなたの心を知って、ヴァルターさんの為に出来ることを考えたい。ヴァルターさんが、私にそうしてくれたように」

・リアさんを怒らせちゃったときはわんこ形態で反省するイケワン。あざとい、さすがあざとい。

・セレナさんとレイリーさんの面接に合格しないとリアさんには近寄れないシステムが、街ぐるみで出来上がっているアリオン…(笑) ヴァルターさんが作中ちょいちょい色んな人から品定めされてるの、やっぱ気のせいじゃないですよね!!



ブログ内検索