【長編】おおかみさん、あまいもののほうへ ※R-18
あまくておいしいお菓子からはじまる、ほのぼのハートフルな溺愛ラブコメディ
作品名 | おおかみさん、あまいもののほうへ |
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作者 | ぴよこ(春井菜緒) |
文字数 | 約24万字 |
所要時間 | 約8時間 |
ジャンル | ラブコメ(異世界FT) |
作品リンク | |
書籍版 | 一迅社メリッサ(※公式ページ) |
「すげー美味くて、幸せの味がしました。――シュミットさんの作るものは全部、そういう味がします」
漁業で栄える素朴な島国の田舎街・アリオンの片隅で小さな甘味店を営む女主人、リア・シュミット。二十二にもなるのに“恋種”が芽吹く気配もなく独り身を通している彼女のお店にある晩やって来たのは、びっくりするほど綺麗な顔をした、びっくりするほど眼力の強い赤髪のお兄さんだった。
クールな無表情でショコラタルトを食べるお兄さんの腰のあたりでご機嫌に揺れているものは、…なんだか尻尾のように見えるのですが――!?
なんでもひとりで頑張ろうとしてしまいがちな女の子と、そんな彼女のために何かしたくて頑張るお兄さん。ちょっとずつ距離を縮めていくふたりがどっちも一生懸命で可愛らしく、甘くやさしいにおいが漂ってきそうな小さなお店の空気感もあいまって、思わず笑みがこぼれてしまう。
見た目クールビューティなわんこ系の傭兵さんと働き者な小動物系女子の、甘くて可愛い溺愛ラブコメディ。
・些細な日常の幸福を愛するヒロインの描写が好ましい。お店の雰囲気とか、使っている小物とかから、すでにカワイイが滲み出ているな。
・甘いもの食べてしっぽパタパタしてるヴァルターさんも、「しっぽ!?」ってなってガン見してるリアさんも、どっちもかわいい。
・リアさんに撫でくりまわされるわんこを威嚇したり、リアさんの作ったケーキを毎日ホール食いしてたり、「なんでもおいしく食べられる方って素敵です」に胸キュンしたりするイケメン…。
・未登場のアダムさんのイメージがもう完全にゴリラな件。もはや名前で呼ばれてすらない(笑)
・悪口のボキャブラリーが五歳の頃から変わってないリアさん…。とりあえずアダムさんのことを普通に「匹」で数えるのはやめよう笑っちゃうから。
・ワンコとして愛でられるのもふつうにアリなのかヴァルターさん。それでいいのかヴァルターさん。
・時計台を見上げながら律儀に開店時間を待ってるヴァルターさんの忠犬感…。
・すごい美形だけど人見知りで、慣れないうちはちょっと怖くて、怖がらせちゃいけない人の前ではお行儀いいけど、時々素の野性味が滲み出ていて、ものすごく一途で愛情深くて、好きなひとにだけデレッデレでかわいい。なんという隙の無いイケワン…ワンコとして100点満点だな。
・「や、焼きすぎたお菓子は、一緒にいちごのヘタ取りなんかをして貰うと、そこそこ元に戻るかもしれません…」とても些細で大きな一歩。焼きすぎてかたくなったお菓子をあたためてフワフワにする、って表現すき。
・恋に落ちた女の子の可愛さ全開か…! 好きだなって思ったことに自分でびっくりして泣いちゃうのずるいよ、かわいいよ。
・「ずっと側にあった温もりこそが、私が生きていかなければならない現実の世界では、夢になっていた。」「今日と変わらない明日が来ることも、大好きな誰かが隣にいてくれることも、当たり前のことなんかじゃない。」人を懐にいれるのが怖くてしょうがないところ、意固地になって限界まで一人で頑張っちゃうところ、ささやかな幸せをものすごく大切にしているところ。喪失を知っているリアさんの心の傷がもどかしくて、だからこそ、ちゃんと自分の恋と向き合って未来を望もうとするその心根がとても愛おしい。
・「全部を正しく理解出来なくても、あなたの心を知って、ヴァルターさんの為に出来ることを考えたい。ヴァルターさんが、私にそうしてくれたように」
・リアさんを怒らせちゃったときはわんこ形態で反省するイケワン。あざとい、さすがあざとい。
・セレナさんとレイリーさんの面接に合格しないとリアさんには近寄れないシステムが、街ぐるみで出来上がっているアリオン…(笑) ヴァルターさんが作中ちょいちょい色んな人から品定めされてるの、やっぱ気のせいじゃないですよね!!