【中短編】陸の人魚と嘘つき商人のフェアリーテイル
2020年9月1日
口が悪いひねくれ者の商人と鈍感でお人よしな人魚の恋物語
作品名 | 陸の人魚と嘘つき商人のフェアリーテイル |
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作者 | 日車メレ |
文字数 | 約7万8000字 |
所要時間 | 約2時間35分 |
ジャンル | 恋愛(異世界FT) |
作品リンク | カクヨム 小説家になろう |
レビュー
「気をつけろ、人間は人魚を裏切るものだ。だから心をゆるすな」
人魚姫が恋した男に秘密を明かしてしまったことで、人間たちに攻め入られた海底の豊かな王国は今はなく、陸にあがって生きのびた人魚たちは人に紛れてひっそりと暮らしている。
小さな漁村で生まれ育ったメリッサは、あるとき人魚であることがばれて故郷から逃げ出し、たどり着いた港町で身なりの良い若い男に拾われた。しかし彼は、「人魚に呪われた一族」と言われる商家の当主で…!?
世間知らずで能天気な人魚の少女は、悪意には鈍感だけど善意や優しさはすぐに汲みとってしまう、ばかみたいに素直なお人よし。騙されやすい自覚の足りない危なっかしい少女を保護したのは、ちょっと意地悪で口の悪い商人。純粋無垢な人魚は、腹が立つ物言いをするけれどとても優しい男に少しずつ惹かれていくが…。
悲劇に終わった御伽噺のその先で、人間に恋した人魚の新たなフェアリーテイル。
・メリッサの敬語かわいい。
・「音痴な人魚ほどまぬけなものはないな」←すき
・人の優しさにすぐ気づいて好意をストレートに口にするメリッサ、ツンデレ兄妹との相性が良くて微笑ましい。
・カイルが過保護ぎみなのは、とりわけ心配性なわけじゃなくメリッサが危なっかしすぎるせいでは…(笑) 本人はしっかり自己防衛してるつもりなところが特に。
・陸の人魚は泣き顔が美しい(濡れると瞳の色が変わる)設定が地味に性癖に刺さる。
・悪意にも下心にもサッパリ気づかないくせに、良心とか思いやりは即座に察知する人魚。天使かな?
・計算高いカイルの想定をいろんな方向に裏切りまくって冷や汗かかせる人魚。悪魔かな?
・カイルにもラファティさんにもソッコーで正体バレてるメリッサの擬態レベル…。実は怪しさ満点か。
・未登場の父と兄とか、海の王国の再興とか、まだまだ広がりそうな設定に妄想がはかどる。