【中短編】ラ・キト通りの子どもたち
2020年7月15日
桜舞う古びた娼館街に生きる子どもたちの幻想御伽噺奇譚
作品名 | ラ・キト通りの子どもたち |
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作者 | 糸(水守糸子) |
文字数 | 約4万2000字 |
所要時間 | 約1時間25分 |
ジャンル | 幻想ファンタジー(異世界) |
作品リンク | 小説家になろう カクヨム |
レビュー
今はもう眠れるお城の足元に、ラ・キトと呼ばれる古びた通りがある。ラ・キト通りに捨てられた子どもたちは、清らかなのは教会へゆき、淫蕩なのは娼婦になる。子どもたちを運ぶのは、真っ黒いコートに身を包んだコウノトリ。
気分屋のママに手を引かれ、ラ・キト通りの桜の下に置き去りにされた黒猫の前に姿を現したのは、黒い外套に身を包んだうつくしい青年。「コウノトリ」と名乗った彼によって、いじらしくママを慕って泣きじゃくる黒猫が運ばれた先は、教会かはたまた娼館か…?
ひんやりと湿った夜のにおいがしてくるような、退廃的で妖しげな街角。浮世離れして閉じた世界の倦んだ空気のなか、コウノトリによって決められた運命を生きる子どもたち。淫靡でありながら清冽で、心弱くも愛情深い子どもたちが、それぞれに望んだものとたどり着く未来は――?
薄暗くてやさしい、ちょっと不思議で胸のすくような読後感の幻想御伽譚。