【中長編】呪われた聖女の娘
2020年7月13日
大切に守られて育った無垢な少女が大人になるための物語
作品名 | 呪われた聖女の娘 |
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作者 | かなん |
文字数 | 約10万4000字 |
所要時間 | 約3時間30分 |
ジャンル | 恋愛(異世界FT) |
作品リンク | 小説家になろう |
レビュー
こんなに苦しいのが大人になるということなら、一生大人になんてなりたくなかった。
中央神殿に仕える聖女であった母の身に巣くっていた呪いの残滓を宿して生まれてきた少女・アリーサは、聖女の力を持たない只人の目には世にもおぞましい化け物にしか見えないらしい。娘を傷つけられることを恐れた母親によって、僻地の屋敷の奥で大切に守られて育った無垢な少女に初めて出来た友達は、ちょっと気難しいけれど真面目で頼もしい男の子だった。
聖女である母親の守護の力が内側から浄化の力を拒んでしまうために呪いを解くことができず、長く囚われたままの少女。大人になれば呪いの浄化を拒む力も消えるはずだったが、外界に触れることなくぬくぬくと守られて育った少女は、このままでは精神的に「成人」を迎えることが出来ないと言われてしまい…!?
少女を縛り、分厚い殻の中に閉じ込めるもの――それは愛という名の。
純粋培養の素直なお嬢さんが、あたたかな庇護の手を離れて自分の意志で歩きはじめるまでの物語。
キャラクターpickup
アリーサ
「すごいわ、レイ。お母様はいろいろなお伽噺やお話をしてくれるけど、そんなの初めて聞いたわ」
「ねえ、私はレイのことが大好きよ。ヴィオレットおばさまも、お母様も、レイのことが大好きよ」
「私も変わりたい、もっと大人になりたいの。一人で立てるくらいに」
…聖女モニカの娘。只人には世にもおぞましい顔をしているように見えてしまう呪いにおかされている。外界に触れることなく育った世間知らず。優しくて素直な気性。
レイ
「反論できないからって暴力に訴えるのは卑怯者のすることだ」
「僕が真実を知っていたからって、正しいからって、それで彼女を守れるわけじゃない。理不尽で、不公平だ」
「僕の幸せをあなたの物差しで測るのはやめてほしい。僕は幸せになりたいんじゃない。彼女を幸せにしたいんだ」
…聖女ヴィオレットの息子。知的好奇心が強く同年代の子どもたちより賢いが、自尊心が強く頑なでちょっと気難しい。理知的で真面目な性格。