【短編】姫君と塩 : 閑人書房

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【短編】姫君と塩

2020年5月10日 

優しく賢いお姫様の、うわべとまことを識る御伽噺


作品名姫君と塩
作者葉山郁
文字数約2万2000字
所要時間約45分
ジャンル童話
作品リンク氷の花束(※トップページ)

レビュー

「塩よりも、君を大切に思っている」


とある平和な国の立派な王様が、あるとき三人の美しい娘たちを集めて聞いた。お前達は私を、どれほど思っているか? と。
上の娘は自分の命よりも、真ん中の娘は世界中のすべてよりも、父王を思っていると答えたが、末の娘は言った。――お塩よりも、お父様を思っています、と。
この答えに王様は怒り悲しみ、末の娘を国から追放した。
国を追われて下働きに身をやつした娘は、遠い国で賢い王子様に出会う。見た目はみすぼらしくとも、優しく聡明な娘の本質を王子様はすぐに見抜いたが、そんな賢い王子様でも、彼女の語った塩の話の意味だけは分からない。さて娘の真意とは――?

どんなにつまらない、取るに足りないもののように思えても、本質もそうであるとは限らない。うわべだけ美しく立派によそおっても、そこにまことがなければ虚しい。
愛する人と悲しいすれ違いをした聡明で美しいお姫様の真心をめぐる物語。

(イギリス民話「いぐさのかさ」のパスティーシュ童話)


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