【短編】つぐみのひげの王様
2020年8月18日
りっぱな王さまとうつくしいお姫さまの、幸福にたどりつくための御伽噺
作品名 | つぐみのひげの王様 |
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作者 | 葉山郁 |
文字数 | 約2万3000字 |
所要時間 | 約45分 |
ジャンル | 童話 |
作品リンク | 氷の花束(※トップページ) |
レビュー
「姫はきっと待っておいでなのですよ。自分にふさわしい相手が来るのを」
大きく豊かな国をおさめるりっぱな王さまが、あるとき、小さな国のたいそう美しいお姫さまの噂を耳にする。たいへん高慢で自分の美しさに思いあがっており、列をなす求婚者たちをことごとく袖にしてしまうという、世にも美しいお姫さま。
興味をひかれた王さまは小さな国をたずねていって、噂にたがわず美しいお姫さまをたいそう気に入り、「私の国に来て妃となってください」と申しこむが、お姫さまはけっして首をたてに振ろうとはせず…?
賢者いわく、幸福にたどりつくためにもっとも遠い回り道とは、盲目、多弁、そして高慢である。
さて高慢であったのは誰なのか。
それはそれは美しく、やって来た求婚者たちをことごとく拒み、口すらきこうとしないお姫さまか、それとも――?
無口なお姫さまと、お姫さまに「つぐみ」と呼ばれた王さまの、ちょっと苦笑がこぼれてしまうような、じんわりと胸に迫る御伽噺。
(グリム童話「つぐみのひげの王様」のパスティーシュ童話)