【中短編】おっさん姫(連作) : 閑人書房

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【中短編】おっさん姫(連作)

2022年1月1日 

都見物にやってきた腐れ縁コンビが、渋くてごついお姫様と友情をはぐくむ出オチ系コメディ


作品名おっさん姫
文字数約1万8000字
所要時間約35分

作品名おっさん姫の嫁取り
文字数約1万5000字
所要時間約30分

作者葉山郁
ジャンルコメディ(異世界)
作品リンク氷の花束(※トップページ)

レビュー

「俺たちで取り戻すんだ―――おっさんが、姫でない世の中を」


「都じゃ最近、魔王が出るって! ゲイリー、一旗あげようぜ!」――例によってアホな幼馴染が例によってアホなことを言い出したのを発端に、なんやかやと都見物に出かけることになった、田舎の農夫・ゲイリーと旅籠の息子・ビクター。そんな彼らが都の王城で出会ったのは、フリフリピンクのドレスを身に纏った、筋骨隆々の渋いおっさんだった…!

能天気で騙されやすいトラブル体質のアホの子に、こいつ縁切りてェェェと思いつつも毎度助けてやっている要領のいい幼馴染み。そんな田舎育ちの凸凹コンビが、わけのわからない経緯でわけのわからない事態になっている都で、国の未来を左右する騒動の渦中に巻き込まれていく。
魔王はいかにして魔王となり、おっさんはいかにして姫となったのか――!?

絵面のインパクトと、やや投げやりな主人公の語り口がシュールで、半笑いが止まらない出オチ系コメディ。

【おっさん姫】

・タイトルからあふれ出る出オチ感。

・「死ねば?」は言わないでおくけど、「縁、切ろうな」は言っちゃうゲイリーさん。

・「都じゃ最近、魔王が出るって!」突然の謎すぎる世界観に戸惑いが隠せない。勢いだけで持ってかれる感が半端ない。

・魔王の住処の門番に、わずか1行の間にやられる主人公ズ。………じゃないわ、ぼっこぼこにされてんのビクターさんだけだったわ。

・姫様のおなぁーり! からの絵面のインパクトが強すぎる件。「姫であるというやる気が見られない」(笑)

・渋かっこいいおっさんにシビれる田舎者のふたり。「か、かかかかかかかかっけえーっ! ひめかっけえー!」「すげえーっ!!」かっこいいかもしれんが絵面のやばさが全てを食ってるんだよ。

・「女装した筋骨隆々の実の兄と結婚しろと迫られたら誰だって魔王になる道選ぶ!」この世界における魔王の定義とは…(困惑)

・占い師は確実に便乗系のユカイ犯だな。

・姫の本名、超かっこよくない? ジークフリード。

・「声を出したらただのおっさんであることがばれてしまうと思って」お、おぅ…? さすが愚昧の小市民とは見ているものが違っていらっしゃる…なんと慎ましくも器の大きいお方か…。うん、なんか自分の感覚がバグらされてる感じがすごいな。

・ツッコミが来い。


【おっさん姫の嫁取り】

・能天気で無神経なビクターと、コイツうっぜえええと背中で語る第二王子の、絶望的に噛み合わない感じ、じわる。

・例によって絵面のインパクトで持ってくパターン(笑) 「喧嘩売ってるのか戦争売ってるのか最悪な場合マジなのか」

・「殿下ちょっとお待ちを。今どちらが面白いことになるか真剣に考えています」赤毛大使が快楽主義すぎる件。前回の騒動のとき「私ども側近も王を止めようとはした」とか言ってたの、「私以外の側近」の間違いでは?

・女装姿を、似合うか似合わないかではなく、つまるかつまらないかで評価する腐れ縁コンビ。「ひでっ! えっ! まじ、ひどっ! もう全然だめじゃん! がっかりするレベル!」

・「あ、こりゃ戦争だ。」一瞬にして結論が出るの、テンポ良すぎて笑う。

・「うん、ビクター。後で説明するからお前は窓の枠で首に縄かけて三十分ぐらいぶらさがって遊んどいてくれ」ビクターさんに対する辛辣さが留まるところをしらない。

・「ホントわかんねえよな、あんな筋肉もりあがってないドレス姿の何がいいのか」やはり男にモテまくってる弟王子(女装)と、おっさん姫を見慣れすぎて感覚がイカれてる腐れ縁コンビ(ツッコミ不在)。

・前作に引き続き、ひたすら弟王子が不憫な話だった。生まれてくる世界をまちがえたイケメン王子…来世はキラキラ少女ロマンスの世界に生まれてこれるといいね。…いや、少女ロマンスでもやっぱり不憫系当て馬キャラになりそうだな、このひと。



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